Steady
敦は目を閉じると、

柔らかな髪を

さらりとかき上げる。


「勉強は高校までで十分。

 それ以上なんて

 やる気になんねーよ」


そう言いながら

敦は目の前に広がる料理に

手をつけ始める。


美味い、と

ぶつぶつ言いながら

豪快に食べる敦の姿に、

私の中でなんとなく

違和感を感じ始めていた。


あの頃の“敦”って、

こんな感じだった?


大学のゼミで会った

“敦”の方が、

私の知ってる

“敦”だと感じたけれど。


目の前にいる“敦”が、

本当に、

正真正銘の“敦”なの―――?


むしゃむしゃと食べ進める敦に、

私は思い切って

ずっと心の中に大事にしていた

あの事を切り出した。





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