御曹司なんてお断りっ◆
「実はですね。
家は離婚してましてーー
私は母方に引き取られた形になっているんです。」
「…はぁ・・それで…?」
まぁ、両親が離婚して…なんて話はよく聞く話だ。
でもーー
「でも、家は引越してなくて…
父と母は離婚する前と同じように
同じ家で生活をしています。」
「え?」
どういう意味?
と、言いたげに市川さんが顔をしかめた。
「兄がいるのですが、兄は『跡取りだから』といって
父が引き取っている形です。
両親は私の為にーー離婚したんです。」
そこまで言うと、
私は、市川さんに家の場所を伝えた。
私は無言でうつむいた。
市川さんは、わかりましたと言って
車を発進させた。
「…志保さん。ここって…」
年季の入った純和風なお屋敷。
重厚な入口。
まぎれもない私の実家。
門の前に止めてもらって私は重い口を開いた。
「…私の実家です。
父の名前は『柳瀬川 高志』です。
柳瀬川グループの社長です。」
車の中から、
重々しく門の脇に掲げられた 柳瀬川 という文字を一瞥した。