御曹司なんてお断りっ◆

「いやー、離婚したんだけどねぇ。

 父も、母を愛しちゃってたから、
 離婚はするけど、出ていくのは許さないって言ってさ~

 だから、今のところ生活は何にも変わっていないわけ。」

「なるほどねー。
 おしどり夫婦で有名な柳瀬川夫妻が離婚って
 よっぽどと思ったけど、
 二人ともよっぽどの親バカってわけか。」


いつの間にか、
仲良くなりすぎて二人ともすっかりため口で
昔からの友達のように話し合っている
建志と、市川さん。



志保がやれやれとため息を吐くと、
不意に母の声が響いた。


「あら、家柄が必要なの?
 そうねぇ、じゃぁ再婚してもいいわよ?
 志保の相手が『花京院』さんだったら あのくそジジィも喜ぶわよ?」


「お母さん!!」

志保は驚いて、
ニコニコして椅子に腰かけた母を見る。


「だぁって、離婚したのは志保に自由に恋愛してほしかっただけだし。
 好きになった人がたまたま御曹司。ってだけでしょ?

 じゃ、すぐにでも・・・」


すぐに父に電話しそうな母を志保はすごい剣幕で制した。

「おっお母さんっ!!

 あのっ。

 ダメ・・・」


母も、建志も、市川さんも
きょとんと不思議そうな顔をして志保に注目した。


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