御曹司なんてお断りっ◆

「なぁ、うちの母親と、
 志保の母親って知り合いなのか?」

「私が聞きたいわ。--どういうーー」

「…志保さんのお母様のお店の常連さんですよ。」

「「えっ?!!」」

私と昴さんの声が重なった。

市川さんは、ゆっくりと昴さんを見つめてにやりと笑った。

ーーなんで知ってるの?

思わず後ろで立っている市川さんをじっと見つめた。

「…お母様とは…メル友ですので。」

ふふ っと挑発するように市川さんは昴さんに向かって笑う。

「なんでお前が志保の親と仲良くなってるんだよっ
 俺なんてまだ会わせてももらえてないのに・・・」

「…昴様が、嫌われているんじゃないですか?」

「それは無い。
 俺、志保からの愛を感じるし。なぁ?志保?」


「え?!---えぇ。まぁ。
 でも、こんなところで言わないでください。照れます。」


じゃっかん顔が紅くなるのを隠すように志保はぷいっと前に向き直った。


もうーー
なんで昴さんは簡単に照れるような言葉を使うんだろ。
心臓がいつも、忙しい。




「…昴様。志保様。
 長兄の始さんがお見えになりました。」

市川さんの少し低めの声が二人に響き、
入口の方へと目をやった。


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