片道20分

毎朝この坂道を


ゆっくりゆっくり歩いている。


もうすぐで


あの丘。


期待で高鳴る鼓動を抑えて


私は歩く。


(あ…)


向かいから、学ランの男子集団。


その中の


短髪で綺麗な瞳の、身長172cmほどの男の子。


(いた…)


毎朝8時10分くらいに


ここの丘を通る。


「俺昨日、帰り道ここで派手に転んじまってさー!」


集団の1人が


あの人にそう言った。


「ははっ、バカじゃねーの」


柔らかな笑顔で


笑った。


その集団は私の横を通りすぎて行く。


私が遅刻をする理由


それは


あの人に


恋を、しているから。


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