鈴姫


そう言い捨ててさっさと部屋を出て行ってしまい、ハルは頬を膨らませたまま今着ている金や銀の刺繍が入った服を脱ぎ始めた。


その隣で、香蘭はぼんやりと手にしている着物を眺めた。




小さな、子ども用の着物。




それを見て、やっぱり秋蛍はわざわざ買ってきてくれたのだと確信した。



「リン?」



「あっ、ご、ごめんね」


不思議そうに香蘭を見上げるハルに、慌てて着物を渡した。


ハルは香蘭から着物を受け取ると、着物に袖を通した。



香蘭がほっと息をついていると、リン、とハルが小さな声で呼んで、少し恥ずかしそうに香蘭のほうを向いた。


「あの、やっぱりちょっと手伝ってもらえる?」


香蘭は一瞬きょとんとしたものの、すぐにくすりと笑って頷いた。


「ええ。もちろん」


そして苦労しているハルのそばに膝をつけ、腰紐に手をのばした。


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