花恋-はなこい-
いつもあっけらかんとしていて

明るかった蒼。


実は心の奥に

深い傷のようなものを

抱えていたのだ。


そう思うと、

真由の心がズキンと痛む。


「そうだったんだ……」


真由がぽつりと呟く。


沈んだ空気を変えるように

杏奈が思いっきり手を叩き、

「ま、私はまた

 真由と同じクラスだから、

 嬉しいんだけどね」

と真由の腕を取り

にんまりと笑った。


「また1年よろしくね」


杏奈の太陽のように

明るい笑顔に真由も

にっこりと笑顔になる。


「うん。よろしくね、杏奈」







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