†SweetBlood†
とろりと甘く緩んだ瞳でそんな風に言われたら逆らえない。
就寝の挨拶を交わし、紅黎は部屋を後にした。

広い、広い部屋に独りきり。

急に心細くなり、熱い掌に包まれていた場所を自らの手で覆う。

状況を整理しようと、記憶の断片と紅黎の言葉を繋ぎ合わせていく。

「私は事故にあって死にかけていた。そこを紅黎に助けられた。血を与えたって言ってたけど…。」
そこまで口にした所で浮かんできた感覚と妙にはっきりとした記憶。

薄く開いた唇に触れた柔らかな感触。
唇の隙間から暖かく湿った何かが侵入してくる。
間近で捉えた瞳には、見慣れた顔が映り込んでいて―--

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