意地悪LOVER
「マネージャー…か」
それを聞いてすぐに浮かびあがったひかりの姿。
「確か、マネさん一人しかいないんですよね?やっぱ大変じゃないんですか?」
「そうだな…、俺らの汚い服とかいつも一人で洗ってもらったりしてるしな…」
「やっぱり…!あたしにも手伝わせてください!」
「…でも、つまらないと思うけど…」
おかしいよな。
ひかりにはあんなに無理矢理マネージャーになってもらったのにさ。
佐々木にはこんなに気遣ってる。
「でも、良いんです!大地先輩の役に立ちたいんです!」
「…分かった!部員にまた聞いておくよ!」
なんてな。
ほんとは俺の独断で決めれるんだけど…。どうしても決めにくい。
それはきっとひかりがいるから…。
「じゃ、俺あっちだから」
「はい、また!」
そう言って俺らはそれぞれの教室へと向かった。
「あ、大地。こっちくんの遅かったんだね!」
「お、ひかりは早かったんだな」
偶然廊下でひかりと出くわす。
「あたしは特に片付けもなかったし、着替えたら終わりだもーん」
「マネさんは楽なんだなー」
「む!結構しんどいんだよ!?掃除とか…洗濯とか…」
そう言って指折り数えていくひかり。
その指は前見たときよりも、結構傷が増えたりしている。
あぁ、一生懸命やってくれてるんだなぁ。って改めて思う。
「そういえば、玲皇君…風邪大丈夫そうだった?」
「…」
ドックン…と、心臓が大きく脈を打つ。
玲皇…か。今日の朝練じゃひかりと一言も喋ってなかったみたいだけど…、俺からみたら二人は付き合ってるわけだし…
いつも…その、相手の心配はするよな。
「あぁ、結構回復してるっぽかった」
「そか…。」
どこか安心したように笑うひかり。
俺には二人の中に入る隙なんてないのかも。
だけどさ。やっぱりそう簡単にこの気持ち…あきらめられないんだよ。
俺は悔しさを隠すように、顔は一生懸命笑顔を作って、下で小さくギュッと拳を握った。