パラサイト ラブ

始めはみんな私に気を遣って、私にも分かる当たり障りのない世間話をしてくれていた。


でも途中からご近所の話や妹さんの学校の話……私が聞き役に徹することしかできない話題が続いて、なんとなく居心地の悪くなった私はトイレに立った。



仕方ないじゃない、私は今日が初対面なんだから――…



そう自分に言い聞かせながらトイレで気持ちを落ち着かせ、みんなの所へ戻ろうとドアノブに手をかけたときだった。



「ミャア」



いつの間に近づいてきたのか、私の足元で、猫のちぃが鳴いた。



「どうしたの?あなたも賑やかな方へ行く?」



私はちぃを抱き上げて、ゆっくりとドアを開けた。


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