パラサイト ラブ
「―――あたし、お兄ちゃんはハナちゃんと結婚するとばかり思ってた」
耳に飛び込んできた声に、思わず出しかけていた足を引っ込めた。
今のはたぶん…妹さんの声。
私はちぃを抱きしめたまま廊下に戻り、微かに開けたままのドアから漏れる話の続きに聞き耳を立てる。
「はぁ?なんで俺とハナが」
「だって昔から仲良いし、よくお母さんと一緒に台所に立つ姿見てるしさぁ」
「そりゃお隣さんだからだろ、なぁ?ハナ」
龍ちゃんがハナさんに話を振った。
無意識に、ちぃを抱く腕に力がこもる。
「―――――あたしは好きだったよ、龍二のこと」