パラサイト ラブ
「考えすぎだよ。ハナとは昔からの付き合いだからみんな慣れてるってだけで……」
「私…もうハナさんに会いたくない!龍ちゃんも会わないで欲しい!
実家に帰る度にハナさんと顔を合わせなきゃならないとしたら……そんなの、耐えられない」
…悲痛な声だった。
音楽もラジオもかけていない車内に、朝乃のすすり泣きだけが響く。
俺は、何と言っていいのかわからず口をつぐんだ。
『ハナとはもう会わない、実家にも来させないようにする』
その場しのぎでそう言うことはできるけど……実際はそんなこと、無理だ。
ハナとの関係は俺だけの問題じゃなくて家族ぐるみのもの……
だからこそ、朝乃にいい加減なことを言いたくはなかった。