パラサイト ラブ
それでも表情を変えない朝乃を、運転席から身を乗り出してきつく抱きしめた。
「私ね……龍ちゃんを幸せにしたい」
俺の耳元で、朝乃が呟く。
…俺だって、したいよ。
朝乃をこの手で、誰より幸せに。
なのに朝乃は、こんなことを言う。
「だから私と結婚したら…だめ、なんだよ」
「……どうして」
俺は困っていた。
いつもの朝乃なら、たとえ発作が起きるほどの不安を胸に抱えていても、抱きしめて、キスをして、言葉を尽くして安心させれば落ち着いてくれたのに……
今は、それも無駄なようだ。