パラサイト ラブ
「朝乃、何言って……」
「―――龍ちゃん、ハナさんをお嫁さんにもらえば?」
信じられない一言に、俺は思わずブレーキを踏む。
幸い車通りの少ない山道に差し掛かっていたから、俺はそのままサイドブレーキを引いて車を停車させた。
「……朝乃、どうしたんだよ。さっきからおかしいぞ」
朝乃の表情を見るために天井の電気を点け、シートベルトを外して朝乃の肩を揺らした。
「…うん。自分でも、おかしいと思う」
言葉の割には冷静な表情でそう答えた朝乃。その落ち着き払った様子が、逆に怖かった。
「俺は、朝乃と結婚したいんだ。
朝乃じゃなきゃ意味がない」
言い聞かせるように、教え込むように、じっと目を見つめて俺は朝乃に言った。