パラサイト ラブ
「確か、ここだよな……」
目の前の懐かしい建物を見上げる。
朝乃が住んでいたアパート……持ち主は、遠山英。
朝乃がここへ戻るとは思いたくないけど、可能性がないわけじゃない。
それに、朝乃が頼ることのできる人物なんて、遠山くらいしかいないはずだ。
一度だけ来たことのあるその部屋の前に立つ頃には、朝乃が居るかもしれないという思いはほとんど確信に変わっていた。
俺は覚悟を決めて、インターホンを押す。
―――――ピンポーン
軽快な電子音が鳴り響き、中から誰かが近づいてくる足音がした。
「――――――はい」
ドアが開いて出てきたのは…朝乃ではなく、ラフな格好をした遠山だった。