パラサイト ラブ
途端に胸に不安が広がった。
ここに……
居るんじゃないのか……?
外から見て、部屋の場所を勘違いしていただけかもしれない。
たまたま、窓に面した部屋に居ないだけかもしれない。
色んな可能性で不安感を拭おうとするけれど、なかなか消え去ってくれない。
そして階段を上がり、その部屋の前に来たとき……
不安感は、大きな絶望に取って代わった。
“郵便物の投函はご遠慮ください”
そんな文字の書かれた大きなシールが、扉の新聞受けに貼ってあった。
それはこの部屋が誰のものでもないという証拠……
「なんで……」
白い息とともに吐き出された疑問……でもその答えはすぐに解った。
遠山は、この部屋を解約したんだ。
俺が朝乃を取り返しに来ることを予測して――――