パラサイト ラブ


「…ちょっと、失業中で…
探してるところなの」



そんな言葉で取り繕うと、龍ちゃんは心配そうな表情になって言った。



「住むところとか、食べるものとか、困ってないか?もし生活苦しいなら、うちに来るか?」



役所に勤めているからなのか、生活困窮者には敏感みたいだ。



言われるまで忘れていたけど、あの部屋は英が借りてくれていたものだ。
彼が出て行った今、私はいつ追い出されてもおかしくない。



「…龍ちゃんのところに行ってもいい?」



私が申し訳なさそうに言うと、龍ちゃんは優しく頷いてくれた。



こうして私は、新しい男と住みかを手に入れた。


< 22 / 216 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop