しあわせおばけ

羽があっても、影がなくても、今俺の目の前にいる女性は、紛れもなく俺の最愛の人。

「イヤな思いさせて、ごめん」

「どうして謝るの…私が勝手に拗ねて、それに付き合わされて…謝るのは私のほうなのに」

妻の頬を、新しい涙が濡らした。

「ま、そうなんだけど、俺の配慮も足りなかったかなって…」

「ふふ…なにそれ」

ポトリと滴が落ちて、妻はやっと笑顔を見せた。

「もう…ほんとに…」

妻が俺の顔に顔を寄せる。



「やさしいダンナさま」



耳元で、

チュッと音がした。




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