しあわせおばけ
目を潤ませた妻は、鼻の頭を赤くしながらニッコリ微笑んで至近距離で俺を見つめた。
俺は、チュッとされた頬に手を当てる。
「今…した…?」
そう聞くと、妻は一瞬悲しい顔をしたけど、すぐにまた笑みを浮かべて、
「うん」
と頷いた。
「…でも、何も…」
感触がなかった。
不思議顔の俺を見て、妻は静かに笑った。
そして、
「触ってみて」
と頬を指差し、俺はゆっくりと、その薄くピンクに色づいた頬に手を添えた。