しあわせおばけ

俺には霊感なんてないんだ、と相沢は言っていたけど、そんなの俺にだってない。

でも見えるんだ、俺にも相沢にも!



俺は妻と手を取り合い…と言いたいところだがスカッとすり抜けてしまうので、それはできない。

かわりに、満面の笑顔で喜びを分かちあった。

「相沢くん、久しぶりね!」

「…お、おお…久しぶり。ていうか、マジかよぉ。俺、絶対三国が狂ったんだと思った…」

「な?本当だったろ?」

そのとき、相沢にくっついている明日香が目に入った。



そうだ、明日香には、見えないんだった。

なんて声をかけようかと考えたとき、相沢が先に口を開いた。

「…明日香ちゃん」

相沢がしゃがんで、目線を明日香と同じ高さに合わせた。




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