しあわせおばけ
やめてくれよ、まさか、そういうの俺信じてないから。
心の中でそう呟く。
まっすぐ俺を見る妻風の女性の瞳におののき、俺が一歩退いたとき、彼女がにっこり微笑んだ。
「あなたは絶対、私を見つけてくれると思ってた」
いやいやいやいや。
ドリーミーに言ってるけど、不法侵入ですよ。
なんて突っ込むこともできず、俺はただ頭を整理しようと必死になっていた。
見つけてくれると思ってたって、見つけるも何も、現れたのはそっちからで。
見た目も仕種も、何もかもが妻に似ているけど、そんなはずはなくて。
でも、この人が妻の紗希でないとしたら…―
誰だというのか。