午前0時、夜空の下で
不意に、彼の口元が弧を描く。

「――言いたいことがあるなら、さっさと入れ」

その声に導かれるようにして扉を開けたのはシリアだ。

緊張した面持ちで魔王の前に立つと、礼もせずに震える唇を開く。

「……陛下はこうなることを、すべて御存じだったんですね?」

確認するかのような口調に、妃月はシリアに目を向けた。

「どの話だ。心がカザリナに狙われることか、城から逃げることか、……それとも、琅で行方不明になることか」

おそらく最後の内容を知らなかったシリアは、サッと顔を青くする。

「行方、不明……」

放心した様子で零された言葉に、妃月は嘲るような笑みを浮かべた。

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