午前0時、夜空の下で
首を振り否定する心に、そうじゃなくて、とミルフィーユが興奮気味に口を開く。

「黎明館に入れるだけでも凄いんだって! ココの服っていい布地だし、奴隷を知らなかったから、他国の裕福な家庭で育ったんだろうとは思ってたけど……」

心が着ているのは、鮮やかな瑠璃色のワンピースだ。

琅は派手好きな人が多いからと、わざわざノーラが選んでくれたもの。

この上から旅装用の茶色い外套を羽織っていたはずだがと、心は首を傾げる。

「そういえば、荷物……」

記憶を遡り、荷物とともに外套を街に置いてきてしまったのだと気づいた。

「荷物? あ、もしかしてあの時街に置いてきた? ……多分、もう盗られちゃってるよ。琅は黎に比べてかなり治安が悪いから」

「だよね……」

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