午前0時、夜空の下で
前例がないために、女官長の言葉を喜ぶべきか悲しむべきかさえ分からずにいた。

「クロスリードさん……?」

心の訝しげな声に顔を上げると、彼はいつのまにか立ち止まってしまっていたことに気付いた。

慌てて足を進める。

一旦、このことは忘れようと決心し、心の部屋に入ったクロスリードは、彼女にこの世界の言葉や歴史を教えることに専念した。

言葉に関して言えば、心は話すこともでき、読み書きも初めこそ難しい表情をしていたが、まるで遣ったことがあるかのようにするすると習得していった。

もしかしたら、妃月が何らかの力を使ったのかもしれないが、計り知れない王の力など、クロスリードには確かめる術もない。

クロスリードは深く考えることなく、魔界の歴史を語った。

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