君がいた夏
再会の夏

------君がいた夏が戻ってくる

そんなこと想像すらしていなかった。

中学の夏休み。
私の小さな恋は、確かに終わりを告げたはずだった。

なのに。
君はやっぱり、平気で笑うんだろう。

あの日のように・・・






高校1年の7月。

「いってきまーす」
「こら、菜穂。お弁当忘れてどうするの」
「あ。ごめん」

高嶋 菜穂 
平凡な高校1年生。

やっと高校にも慣れてきた。

ドアを開けて夏の空気を吸い込む。

よし、と気合を入れて
私はいつものように友達との待ち合わせ場所に行く。


「菜穂、おはよー」
「おはよー。明美」

この子は城田 明美。
1番にできた友達で、いつも朝は待ち合わせをしている。

「暑いねー」
「うん。もー夏だね・・・」
「アイス食べたーい」
「まだ朝だよ」

そんな他愛もない話をしながら登校する。

学校の靴箱に着いたとき
明美が思い出したように呟いた。

「あ、そーいえば。一個上に転校生くるみたい。お兄ちゃんが言ってた」
「へ~。どんな人?」
「なんか、昔ここら辺に住んでたみたいだけど・・・なんだっけ?名前。忘れちゃった」
「ふ~ん」

私は明美の横顔を見ながら靴を入れる。

「まぁ、あんま私たちには関係ないよね~」
「確かに」

上履きに履き替え階段を上る。

「おはよー」
「おはよ」

皆と挨拶をしながら、教室に入る。

「菜穂、明美。一個上の先輩、ちょーかっこいいよ!!!」

私たちが教室に入ると、クラスの女子たちが飛び込む勢いで
そう口にした。

「いきなり、何だ君らは」

明美が笑いながら5,6人の女子たちに言う。

「明美のお兄ちゃん、2年でしょ?」
「名前は?!」
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