君がいた夏
「あ~・・・それがさ、忘れっちゃって」
「そっかぁ・・・じゃあさ、昼休み、皆で見に行こうよ」
「いいよ~」

私達は約束をして席に着く。

「席つけー!!」

先生が来て、朝のホームルームが始まる。

「今日の昼休み、図書委員は集まりあるから、昼休み図書室に行くように」

明美が後ろから呟く。

「図書委員って誰だっけ?」
「えーっと・・・あ!私だ」
「じゃあ、見に行けないじゃん!!!」
「ごめん、私抜きでいって」
「つまんないよ~」
「私はあんま興味ないし。ごめんね」

私は明美に謝る。

昔から、てゆうか
中学の終わりごろから
あまり好きとか恋愛に興味をもたなくなった。

「またあの人?」

明美の言葉にドキッとする。

「いや・・・うん。違う、と、思う・・・」
「ごまかせてないから」

私は明美の顔を見つめ
目を伏せる。

「なんか、頭から離れないの・・・」
「中学の先輩?」
「そう」

中学のちょうどこの夏の今頃に
私は先輩と付き合っていた。

-菜穂ちゃん-

そう呼ばれていた。
あの声が大好きだった。

なのに・・・

「中学の夏休みにいなくなったと・・・」
「・・・・うん」

先輩は突然姿を消した。

「菜穂、前に進みな」
「わかってる」

分かってるのに・・・
あの笑顔

仕草

全てが頭に焼き付いて
離れないんだ。

「名前はなんていうの?」
「えっと、確か・・・」

「こら、高嶋、城田うるさいぞ」
「すいません・・・」

先生に怒られてしまった。

「知っても、つまらないよ」

そう小声で言って
私は前を向く。
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