君がいた夏


「歩、そんな顔もすんだな」
「は?」
「………いや」

先輩は少し嬉しそうに微笑んで、また菜穂を見た。

「……好きなやつができるとさ、世界が変わったように明るくなる………守りたいって思うんだ」

少し切なそうな
でも、菜穂に向けられた少し熱を帯びた瞳を
窓に向けながら先輩が呟いた。

「………はい、確かに」
「明美ちゃんと、仲良くな」
「言われなくても」

俺の言葉に満足そうにうなずいた先輩は
席を立った。

「なら、良かった。それじゃ俺は行くよ」

この人、もしかして俺にこれ確認しに来たのか?
まさかな…

俺は一つため息をついた。

ドアから出ようとした先輩が足を止めた
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