君がいた夏

愛すること 優陽side



「…………はぁ」
「なんだよ、お前らしくないな」
「大丈夫?」

ここは桐の部屋。

俺は桐が出してくれたお茶で喉を潤して
ため息をついた。

「優ちゃーん?大丈夫ー?」
「………はぁ…」
「ダメだこりゃ」

桐と紀衣が顔を見合わせて肩をすくめる

「何があったんだよ、優陽!」
「……桐……」

俺は桐の顔を見る

ほんとに、俺は何してんだろ…
ガキだな、ほんと。

俺は桐と紀衣に昨日のことを話始めた。
話していても自分が嫌になる。

「………つまり、お前はなんでそんな怒ったんだ?」
「……いや、菜穂ちゃんは、俺がいなくなってしまうんじゃないかって不安になってて……少し、信じてくれてないのかなって思ったのもあんだけど…………一番の理由は気付けなかった俺がムカつくんだ…」

そう。
俺は、その不安に気付けなかった自分が
一番腹立つ。

「……お前は、なにやってんだよ」
「……はぁ……わかんねぇ……自分でも自分の気持ちがわかんねぇんだ…」

俺は、頭をかく。

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