君がいた夏


「……優ちゃんの話聞いてると、菜穂ちゃんに信じてもらえなかったことより、菜穂ちゃんを傷つけたことにムカついてるって聞こえる」
「………菜穂ちゃんが俺に気持ちをいったあと、俺がちょっと怒るよって言ったら傷ついた顔した……」

たぶん、また離れてしまうと思ったんだろう。

「……優ちゃん…それは、菜穂ちゃんは、悪くないでしょ?」
「………っ」
「だって、不安になるのは当たり前。……そりゃ四年前は私の責任もあるけど……なんで離れないよっていってあげられなかったの?」

紀衣の言葉に胸が痛くなる

「…紀衣」
「…………ごめん」

桐が紀衣の肩をつかむ
紀衣は少し小さな声で謝った

「…優陽、菜穂のこと好きか?」
「当たり前だろ」
「だったら、話は簡単だろ」

桐が笑う

「…お前は、前を見ようとしすぎだ。少し過去を振り替えれ」
「………え?」
「………また、菜穂を苦しめるのか?いいのか、また離れることになっても」
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