威鶴の瞳


「……あそこ、で?」



そこには、トーマの荷物が置いてある。

そこに居たのは本当らしい。



「悪かった」

「あ、いえ、別に勝手に寝たこととかなら気にしませんし、むしろありがたいというか……」



看病のために、居てくれてた。



トーマだって、連日仕事に駆り出されて、疲れてたはずだし。

威鶴が疲れるのに、トーマが疲れないはずがない。



もう少し早く起きてれば……ううん、トーマが来た時に『私達』が気がついていたら、ソファーを譲ったり、タオルケットとかクッションくらい用意してたのに。

……詳しく言えば、動けないから用意自体は透眞に任せてたかもしれないけど。



「……こちらこそ、いきなりごめんなさい」



うどんを見つめて、また透眞に視線を戻す。



「いきなりわけのわからないメール送って、お医者さんにも診せてくれて、ご飯まで……」

「いや、病人と知ったらここまでするのは当たり前だから」

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