威鶴の瞳


俺がアイツと手握ったも同然なんだぞ?

それを考えると……あぁ、次会いたくないな。



トーマが女の扱いする所まで見てしまった。

あんなトーマは正直、見たくなかった。 



なんだよアイツ、アイツの中に心配って感情があったのか?

なんだよあの甘い雰囲気は。

けしからん。



……ダメだ、依鶴を見ているとまるで父親のような感情が沸き上がる。



それに目つむったらさすがに俺でも何も出来ない。

バカだ、トーマは。



……ただ、思っていた以上に信頼関係が築かれていたのは、素直に嬉しいと思う。



……そういえば、『ネーチャン』と呼ばれなかったな、なんて思い出す。

トーマは大抵、女に対しては『ネーチャン』か『ジョーチャン』と呼んでいる。

レインにもそうだ。



名乗ったからか?

それとも、俺と名前が同じだったからか。

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