威鶴の瞳
……いや、そうじゃなくて。
大体想像つくけど。
なんとなく、わかるけど。
むしろ、見覚えすらあるけど。
「威鶴、コイツ昔の仲間のトモっつーんだ」
今回犯人の場所を特定する鍵となった男だ。
「トーマさん、この人があの威鶴さんっすか?」
そう言ったトモという男は、すでに俺の事をトーマから聞かされているらしい。
「あぁ。ぜってー敵に回すんじゃねーぞ?いいか?ぜってーだからな?」
「……了解っす」
なぜそんなに強調する。
なに『大事な事なので二回言いました』って顔してんだよ。
……地味に傷付くじゃないか。
そういえば、トーマが先に来ていたこと、そして過去で見た時よりもずいぶんと短髪になっていたその男を見たおかげか、トーマに会いたくなかった気持ちは一瞬にしてなくなった。