威鶴の瞳
緊急事態発生
トーマは実は、とんでもない男だった。
『いや、今の時間アイツ寝てるし』
『お前が行くなら一人増えても変わんねぇだろ』
『部屋が散らかってるかも──』
『外で待っててやる』
『俺も寝るから、トーマ暇になるだろ?』
『それくらい待てる』
『でも女の部屋に男が入るのは──』
『お前も男だろ?それとも何かヤマシイ事でもあんのか?あ?』
『いや、ないけど……』
『ならいいだろ』
『……』
つまり俺は、言い負かされたのだ。
なんて奴だ、なんでこうなった。
それよりなんでいきなり家に来ようと思ったんだ?
もうトーマの考えていることはよくわからない。
さて、この事態をどう乗り切るか……依鶴と作戦会議をしたい所だが、生憎休んでいるらしく、返事が来ない。
せめて俺が眠る前に状況を伝えなければ、依鶴もパニックを起こすだろう。
あぁ、今日は眠れないか……。
眼が疲れるんだよな……。