威鶴の瞳


そうこうしているうちに、着いてしまった。

……ああ、どうしてBOMBの近くに住んでんだ、俺……なんて考えなくても理由は簡単。

レインの紹介でここに住み始めたからだ。



あの日、あの家出した日から、レインにBOMBの勧誘を受けた日から住んでいるからだ。






実家……今、どうなっているんだろうな。

姉と再会して、過去を見て、そのあまりにも衝撃的な事故の記憶を見たショックによって誕生してしまった俺は、そのまま依鶴を守るために家を飛び出した。

そんな俺を拾ったレイン、それからトーマを拾った俺。



レインはもちろん、俺の過去を知らないし、追求もしない。

BOMBのルールに守られているんだ。

それはありがたい。



ただ、トーマには罪悪感が残る。

過去……話すべきだろうか?

人格のこと、トーマの過去を覗いたこと……。








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