威鶴の瞳


「あの話の続きと交換」



マンションの部屋の前に着き、話を聞きながらも鍵を取り出す。



「それとも、こう言った方が話しやすいか?」

「え?」



意味深な言い方に、トーマに顔を向ける。












「──いづる」







カシャン、思わず部屋の鍵を落とした。





違う。

これは違う、『依鶴』じゃない。



もっともっと、慣れ親しんだ、いつもの呼び方。
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