威鶴の瞳
でも、堪えてる。
以前は目が合っただけで突っかかっていたトーマが、怒りを……隠せるとまではいかなくても、抑えている。
「そうね……トーマも知ってるのかしら。まぁそれは公表しなければ認知はしないけど。でもこの依頼は違うでしょう?」
「威鶴じゃねーよ。女だろうが」
「威鶴も女よね」
ピクリ、ほんの少し、トーマの指に力が入ったのを、感じた。
でも、私も驚いた。
だってレインは初めて威鶴と会ったあの日『オニ一サン』と、確かに男として声をかけられた。
なのに、女と確信していた?
「不思議よね、体は女で、心は男。私はそれくらいわかっていたわ。でもBOMBにはそんな事関係ない。性同一障害か何かだと思っていたわ」
そこまで確信していたレインは、凄いを通り越して、もはや恐ろしい。
「でも、柴崎依鶴さん。あなたを見た時に、体格が全く一緒だった」