威鶴の瞳

こんな風に、喧嘩はするけど好きでいられる関係っていうのは、私には理解が出来ない。

嫌いとは言っているけど、本当の意味では嫌いにはなれないんだと思う。

そんな関係は、羨ましい。



これがきっと『家族愛』なのか。



トーマの乗ってきた車の助手席に座らされ、竹原叶香とお別れした。



「あの、二時間もお邪魔してすみませんでした」

「いいから。それよりちゃんと教えたこと応用してくださいよねー?」



そう言って笑う竹原叶香に、少しだけ感謝した。

きっと私は前のままだったら、何も進めてなかっただろうから。



窓が閉まり、車が発車する。

偉そうな態度はトーマに似てる。

でもあの優しさは……遥香さんに似ていたような気がした。



「あんな所で何してたんだ?」



二人きりになり、初めて発された言葉には、少しの怒りが含まれていた。

……不機嫌?

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