威鶴の瞳





「竹原さんと私は、一緒に暮らしていたのでしょうか?」





検討違いの……想定以上の答えが返って来た事に、驚かされた。



「あの、いえ、違っていたらすみませんが……家を知っているって、そういう事なのかな、と……」



どういうことだと思ってんだか。

でも確かこの『依鶴』さんの精神年齢は18歳とかそんなもんだと聞いた気がする。

おまけに人との距離が測れないとなると、さっきのような飛んだ発想に辿り着くのかもしれない。



「単に仲がいいだけでも家は知れるぞ」

「……そう、なんですか」



その口元は、少し笑っていた。

嬉しかったんだろうな。



今まで聞いてきた話から、なんとなくわかる。

この『依鶴』さんは人には慣れていないが、人と関わる事を嫌っているわけではない。

ただ一般的な距離が測れないだけだ。
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