威鶴の瞳


気付けば、冷たくしていた。

ダメだとわかっていても、どんどん気持ちが沈んでいく。



簡単にチャーハンを作り、『依鶴』さんに出すと、『依鶴』さんは下を向いてじっとしたまま。

でも寝ているわけではないらしい。



「どうした」



そう聞けば、ビクッと震える体。

似たような経験をしたことがあった。



そう、これは……俺に恐怖している時の表情。






マズイ、と思った。

怖がらせてしまっていた……。



人に植え付けてしまった恐怖は、取るのが難しい。

植え付けた本人なら、なおのこと。



「……悪かった。怖がらせたか?」

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