威鶴の瞳
『恋の自覚』
それが今回の変化であり、依鶴の違和感の理由。
そしてこういった感情の経験がなかった依鶴は、一時的に『満足』してしまった。
辛い思いをして分裂した人格が、幸福感で満たされた。
それはもう、三つである理由がなくなった事に繋がるんじゃないだろうか?
「もうお前が好きな『依鶴』が、目覚めない可能性としての嫌な予感だ」
トーマは、俺を見ているようで、もっと遠くを見つめているような瞳を、ただ俺に向けていた。