威鶴の瞳


なんだかよくわからないけれど、とてつもなくテンションが上がっていることに気がついた。

どうしたんだろうか?

なんで私は今、こんなに楽しいんだろうか?



新しいもの、以前からあるもの、初めてのもの、ここにいると全てのものが新鮮で、なぜだか楽しくなってくる。

以前はなかった。

以前は、だって……感じるものすべてが『無』だった。



……もしかして、竹原さんと少しだけ一緒の時間を過ごしたことと関係があるのだろうか?

それとも、他の人格と関係があるのだろうか?



気にはなるけれど、楽しいことの方が強かった。





どこへ行こう?

とは思ったものの、迷いはしなかった。



実家の最寄り駅に、一本で行けることに、気付いたから。



五年前の実家には、誰もいなくて、姉が帰って来たのが最後。

今はどうなっているんだろう……?

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