威鶴の瞳
今までは『あたし』が呆れられたりしていたけれど、一緒に暮らすようになってからはあたしが呆れる番になった。
二人で車に乗り込み、目的地へ向けて出発する。
「まぁ威鶴の時なんてそんな事出来なかったしな」
「あの頃はトーマと一緒に呆れられてたし。男の子って何であんなにバカになれるんだろう?」
「そのテメーの男の目の前で言ってやるな。ヘコむ」
「ごめんね、透眞。でも本当」
「お前レインに毒され始めてねーか?」
「姉妹だからかな?」
ふふっと少し笑う。
記憶の中の『威鶴』を思い出し、少し懐かしいような気分になる。
私が体験した事じゃないのに、私の記憶になるなんて、なんだか変な感じ。
「レインは寝たのか?」
「うん、あたしの仕上がりに満足してパッタリ。昨日もマサルの相手で疲れたみたいだった」
「相変わらずうるせぇのか、アイツは」
BOMBの内情は詳しく話してはくれないけど、愚痴は聞いたりする。
夜型生活の優雨ちゃん、通常運転な私。
トーマは、あたしの生活に合わせてくれるけれど、基本は優雨ちゃんと同じく夜型。