威鶴の瞳
大きく、早く、視界が動く。
来る日も来る日も、まっ暗闇。
――ダメだ、こんなんじゃ先に精神がイッちゃう。
太陽に長時間当たっていないと鬱になりやすい。
その上光が当たるのは朝と昼の数秒のみ。
数時間に一度外に出されるとしても、目隠しをされる。
常に真っ暗闇。
態勢も大きくは変えられない、先の見えない未来。
これは……地獄だ。
まさに生き地獄。
目を覆われているため、場所の特定も出来ない。
あくまで殺す気はないみたいだけど……一ヶ月はこのままの生活らしい。
つまり、最悪一ヶ月と少しは保証できる。
一度過去に戻り、攫われる前まで時間を戻す。
この過去に、何か原因がある可能性がある。
すると、渡辺春との待ち合わせの数日前の夜、マンションから出た時に怪しい人影を見ていた。
ふと後ろを向いた人影は、彼女と目が合い――彼女は再び部屋に戻った。
この時、接触していたんだ。