教組の花嫁

 「教祖様は嫌いじゃない」


 忌まわしい思い出から現実に帰ると、小波は自分の心を吟味した。


 「男は怖い者と思っていたが、教組様はとても優しい方だ」


 「ハーレムを持っている好色な男。教組様をそんな風に思っていたが、事実は全く違っていた」


 「それに、それに・・・教組様はあの天下の大女優、嶋中ほのかの誘惑を退けられた。普通の男ならそんな事、出来るはずが無い。むしろ尊敬できる方だ」


 小波が力強く呟いた。


 (千葉様の情報でハーレムに関する記事は書ける。そして、教団を去り、教祖のゴシップが世間に出たとしても、教団は潰れる事はないだろう。世界には星の数ほど宗教があり、星の数ほどの忌まわしいゴシップがある。それらは変わる事無く、偽りの光で輝き続けるだろう)


 小波は百合葉の申し込みを辞退した場合の事も考えていた。




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