教組の花嫁

 「ほんまにこれで打ち止めにしてや」

 泰子が呆れた顔で言った。

 「わかりました」

 「千葉はん、念の為に星野さんにこれをしてもらって」


 泰子は、百合葉に妊娠検査薬を渡した。


 こんな時の為に、泰子は妊娠検査薬を常備していた。



 「えっ、妊娠検査薬ですか。・・・わかりました。小波さん、悪いけど妊娠の検査をしてもらえる。あなただけじゃ無いのよ。ここに入る人には、皆検査をお願いしているの」


 百合葉は嘘を付いた。
 妊娠検査薬を用いるのは、今回が初めてだった。


 「妊娠の検査までするのですか」

 小波が泰子の対応にうんざりとした。


 「そや、ここに来るまでに子を仕込まれとってみ~。妊娠した、妊娠したと騒がれても、馬鹿みたいやないか」


 泰子がにやにや笑いながら関西弁で答えた。





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