教組の花嫁
 
 コンコン。


 トイレのドアを泰子が叩いた。

 妊娠検査薬を持って、小波がトイレから出て来た。

 「見せてみ」

 泰子が手を差し出した。

 「陰性やな」

 泰子が百合葉の顔を見ながら呟いた。


 「よっしゃ、ええやろ」
 「早く教祖様の跡継ぎを宿し、判定窓に赤紫色のラインを見たいものですわ」


 百合葉が泰子の顔を見て答えた。


 「しかし、あんたはすっぽんみたいな人やな~。 一度、噛み付いたら、絶対に離さへん」


 「私は教祖様の跡継ぎを作るためやったら、すっぽんでも、まむしでも、何にでもなって見せますわ」


 「大こわっ」

 泰子が身震いをした。


 二人の話を聞きながら、小波は年増女は怖いと思った。






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