教組の花嫁
「なぜ、急転直下で物事が、良い方向に動いたのですか」
小波は、何があったのか興味を持った。
「泰子が出刃包丁で、私に襲い掛かってね。私が、木刀でそれを払い落としたんだよ。それで、殺人未遂で訴える代わりに、離婚を承諾させたと言う訳だよ」
「へえ、そんな事があったのですか。それなら納得が・・・」
小波は道心の話している事柄が真実だと、いま始めて理解した。
(奥様が出刃包丁で刃物沙汰を・・・。私が知らない間に、修羅場があったのだ。私が家を出た事で、物事が劇的に進展した訳だから、家を出た価値があったと言う訳か。邪魔者は消えた事だし、ここらで家に戻るとするか)
小波の心が決まった。
「家に戻ってくれないか」
道心が力強く言った。
「はい、わかりました」
小波が素直に応じた。
道心が永心の所に行った。
「永心、これから一緒に暮らせるぞ」
道心が眠っている永心に話し掛けた。
道心の目は、涙で潤んでいる。
突然、永心が大きな目を開けた。そして、道心を見て無邪気に笑った。