教組の花嫁

 「瞑想していない時は、いま行っている作業に集中する。そうすれば、雑念や煩悩から解放される。今の君ならこの奉仕に集中する。それが、動的瞑想なのだ。目は閉じていないが、心の目は閉じているのだ」


 道心が教祖の顔で。


 「小波さん、教組様から直々に教えが受けられるなんて、凄い特権よ。感謝しないとバチが当たるわよ」


 百合葉が口を挟んだ。



 「本当ですね。教祖様ありがとうございます」
 「一度、私と一緒に瞑想してみないか」


 道心が小波を瞑想に誘った。

 
 「ええ、本当ですか」


 小波が思わず道心の顔を見た。



 「では、また連絡する。私はまだ仕事が残っているので、これで失礼する。今日は楽しかったよ」


 「もうお帰りですか」

 百合葉が道心に尋ねた。


 「ママ、今日はありがとう。本当に感謝しているよ。純さん、小波さん遅くまでお疲れだったね。本当にありがとう」


 3人に向かって深々と頭を下げると、道心は帰って行った。



 小波は見送りながら、道心の背中をじっと見詰めていた。

 先入観と実際に会った道心の印象の余りの違いに、小波は驚かされていた。



 道心は卑猥な事を一言も話さ無かった。
 小波や純の体に、一度も触ろうともしなかった。





 
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