教組の花嫁
 
 ハーレムを持っている教祖。


 そんなイメージから、もっと好色な男性像を小波は描いていた。
 道心は全然違っていた。


 『命の泉』という教団を率いる威厳のある知性的な紳士。と、小波は思った。


 (女性の信者が多い訳だ)


 小波はこの教団には圧倒的に女性が多い訳が、今分かったような気がした。



 「ご苦労様。これはお礼よ」


 百合葉が、包装紙に包まれた小さな長方形の小箱を二人に渡した。

 中には、1万円札と、この教団に隣接するホテル泉の宿泊券が入っていた。


 「ありがとうございます」

 小波が百合葉に礼を言った。

 「こんな奉仕ならいつでもしますでございます」

 純が興奮した口調で囁いた。


 「また、お願いね。あっ、それから、最後に一言。この奉仕の事、教祖様の事、この建物の内部の事。この一切は内密にね」


 百合葉が二人に口止めをした。









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