教組の花嫁
道心は、小波に乳母に関する自分の考えを話した。
「えっ、永心に乳母を・・・」
小波は永心に乳母を付ける、と聞いて絶句した。そんな考えは、思いも寄らなかったからである。
教祖になる為には、幼い時から天皇学ならぬ教祖学を、学ばせる必要がある。
道心は弁が立ち、話を作る名手。
道心は、巧みな弁舌で乳母の必要性を説いた。
道心の言う事にも一理ある。しかし、百合葉が乳母になり、1階の住居に永心と暮らす事には、小波には大いに不服があった。
「永心の将来を考えるのが、母心ではないのか。私の後を継がせたいならそうしたまえ」
道心の説得に、小波は渋々従わざるを得なかった。
「永心は1階にいるのだから、会いたい時に会えばいいのだ」
小波は、この言葉を頼りに泣きの涙で乳母を付ける事を認めた。