教組の花嫁

 道心は、小波に乳母に関する自分の考えを話した。




 「えっ、永心に乳母を・・・」




 小波は永心に乳母を付ける、と聞いて絶句した。そんな考えは、思いも寄らなかったからである。


 教祖になる為には、幼い時から天皇学ならぬ教祖学を、学ばせる必要がある。
 道心は弁が立ち、話を作る名手。
 道心は、巧みな弁舌で乳母の必要性を説いた。


 道心の言う事にも一理ある。しかし、百合葉が乳母になり、1階の住居に永心と暮らす事には、小波には大いに不服があった。


 「永心の将来を考えるのが、母心ではないのか。私の後を継がせたいならそうしたまえ」


 道心の説得に、小波は渋々従わざるを得なかった。


 「永心は1階にいるのだから、会いたい時に会えばいいのだ」


 小波は、この言葉を頼りに泣きの涙で乳母を付ける事を認めた。





< 253 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop